12 月15 日、世界の目が山口県での安倍首相とプーチン大統領の会談に集まりました。 両首脳が膝をつき合わせた二人だけの会談で、戦後70 年余を過ぎた歳月の重みをどう解決させるのか?
国民の期待は元島民を始めさまざまでしたが、会談の成果は北方領土をめぐって、共同経済活動や両国間での特別な法制度の協議を開始することで合議となりました。
日本とロシアの70 年の空白の歴史に真剣に取り組む両首脳の態度に、領土問題がもりこまれていないと批判の声もあるようですが、両国の未来への出発点として前向きな姿勢と評価する声が多いようです。 それにしても、日本と国境を接し一番近い国「ロシア」のことを、私たちはあまりにも知らなすぎではないでしょうか。
幕末から日露戦争、第二次世界大戦、いろんなことが日本とロシアの間にはくりひろげられました。 しかし「ロシア」はほとんど謎の国。判らないことばかりです。 敵を知り、己を知る・・・まず、相手のことを知りましょう。
社会活動部会の第4回時事勉強会は、プーチン大統領の来日を前にして日ロ関係の現状をテーマに、STV 元モスクワ特派員で現在は報道部ニュース編集長の山内康次さんを講師に招き、実際にロシアで見たこと、感じたことをお話しいただくことにしました。
会場は満席の40 人の聴衆で埋まりました。山内編集長はニュース編集のベテランだけに、北方領土の問題、プーチン大統領の国内の立場、ロシアの国内経済、海外でのロシアの影響力、さらに国民の生活状況・・・次からつぎと映像を駆使して流れるように解説され会場を魅了しました。
とくに、国後・択捉の軍事的役割や主権をめぐるロシアの立場など、日ロ首脳会談での問題点の指摘は適切で感銘させられました。 人口1億4,000 万人、日本の45 倍ある世界一広大な国土。国民の平均月収は5 万3,000 円。この国と付き合うためには・・・? 山内康次・元モスクワ特派員の講演に考えさせられた2時間でした。
社会活動部会では2月の 中国事情」につづいて、今回は「イスラム国の現状」をテーマに、12月14日(月)時事勉強会を関催しました。
イスラム国をめぐるトラブルが相次ぎ、特にフランス、パリのテロ事件の惨劇が記憶に新しいだけに会員の関心が高く、会場の「かでる27」は、ほぼ満員の盛況ぶりでした。 講師は、北海道新聞経済部次長の小林基秀さん。
アラブの春以来、アラブ社会各国は激しく揺れ動き、シリアをはじめとする難民が欧州各国になだれ込みました。テロの悲劇が世界中に飛び火しています。小林さんはエジプトを中心に、イスラム過激派が活動するシリアやイラン、アフリカのスーダンと広い地域をカバーしました。 取材は戦火が飛び交う地域や、内戦が激しい国々にもおよび、この日は取材先で撮影した映像を見せながら歯切れの良い解説を披露。聴衆を引きつけました。
19世紀の世界大戦は植民地をめぐる争い。21世紀の大戦は宗教、民族の誇りを掛けた争いといわれます。 ロシアの戦闘機をトルコが撃墜、サウジアラビアとイランが国交断絶と紛争は広がっています。 私達日本人にはなかなか理解できない中東の世界を、垣間見ることができた勉強会でした。
(文:和田 写真:長谷川)
50年に一度の大雨に襲われて次々と堤防が決壊し、泥水に流される家の屋根で自衛隊ヘリに助けを求める夫婦。電信柱にしがみついて濁流の中で手をふる男性。テレビの映像は災害の恐ろしさを同時刻で壮絶なまでに伝えました。 災害は忘れたころにやってくる、といいますが東北を襲う災害は記憶にまざまざと新しいうちに次々とやって来ます。 社会活動部会の沢井貴良子さん(HBC)は4年前の東日本大震災のあと、被災した子供たちに義捐金を贈るため、毎年、朗読会をつづけてきました。
ことしも秋の気配が漂いはじめた9月9日、札幌の中島公園にある北海道立文学館で「東日本大震災復興支援 沢井貴良子朗読会」を開催しました。
沢井貴良子さんの朗読作品は、加藤多一・作「馬を洗って」、新美南吉・作「うた時計」。表現豊かな、しっとりとした語り口に会場の人たちは魅せられたように聞き入っていました。魅惑的なカンテレの響きが、語りを盛り上げてこだまします。
語りの名手、安藤さんの朗読は、淡々とした中、溢れんばかりに情感がこもり、被災他の人々の悲しみが惻々と伝わって胸を打ちます。思わずハンカチを手にする人も見られました。 朗読会の義捐金は災害地の子供たちへ贈られました。 (文:和田)